和歌山大学 システム工学部
Vision and Robotics Laboratory

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研究とは

■ 学問と研究
■ 良い研究とは
■ 研究を通じて身に付けるべきこと
■ コンピュータビジョンとは?
■ コンピュータビジョンの研究は面白いか?


学問とは過去を知ること、研究とは未知の問題に挑戦し未来を切り開くこと

 学ぶこととは、過去多くの研究者によってなされた研究の中から重要な理論や手法を体系化して身に付けることです。これは研究の準備としてやっておいた方がいい事柄と言えるでしょう。VRLへの配属を希望する学生は、数学(主に集合論、線形代数、幾何学)、統計学、データ構造とアルゴリズム、パターン認識、などに関する学習を積んでおくことが期待されますが、全てが必須と言うわけではありません。先に「やっておいた方がいい」と書いたのは、研究上必要な学習は研究と並行して再度学習し直してもらうからです。

 研究とは、過去誰も研究をしてこなかった問題を解き、それを通じて新たな理論や技術を産み出していくことです。つまり、研究開始時点では世界中の誰も答えを知らない問題に取り組みます。逆に言うと、1日でも先に誰かが同じ研究を発表してしまえば、それまでの研究が水泡に帰すことになります。
 研究とは、このような知的生産行為でありますが、過去の研究を参照して進められるケースが多いと言えます。そういった意味で、学問と研究とは密接な関係がありますが、既知の手法を何の工夫もなく別の問題に適用しただけでは、研究にはなりません。

 また、過去誰も扱ってこなかった問題であれば、何でも研究になるのかというとそうではありません。例えば、和歌山大学内に敷き詰められたブロックの枚数を1年間かけて数えても、それだけでは研究にはなりません。つまり、その研究を行うことによって得られる社会的もしくは学問的な意義を明確にしなければなりません。だれも扱ってこなかった問題の中には、「やる意味がない問題」「やる前から答えが分かっている問題」などが含まれます。これらはそれぞれ、社会的な意義、学問的な意義が希薄な問題と言えます。先のブロックの数を数え上げる問題は、それによって和歌山大学の建設にかかった経費の一部を見積もるのだと言えば、一見研究になりそうですが、帳簿を調べれば一発で分かるので、研究にはなりそうにありません。

 VRLでは、以上のような点をしっかり考慮して、学年を問わず、対外的に研究として発表できる成果が見込める研究テーマを設定します。但し、研究は似通った研究が発表された時点ですぐに陳腐化してしまいますので、研究テーマは随時見直しをします。

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どんな研究がいい研究か

 良い研究を行う上での第一のターゲットは、「常識」を覆すことです。合理的でこれまでよりも良い結果が出る方法であれば、非常識、あるいは非標準的な方法である程良いと言えます。さらにこの非常識さは、表面上の非常識さではなく、考え方や根本思想のレベルで発揮されたほうがより効果的です。研究の良さを評価する重要な尺度に「新規性」というものがありますが、これは学会によっては「新奇性」という言葉で表現される場合もあります。常識で塗り固められた研究は、全く面白さがないばかりでなく、やる前から答えが分かっている問題になりがちです。自分が皆の常識を覆す状況を想像してワクワクできる人は研究に向いています。

 もう一つのターゲットは、問題の表層に惑わされず本質を捉えることです。例えば、映像から人間の動作を認識する問題を扱う場合に、手や頭の部分を一枚一枚の画像から検出すると、検出に失敗してしまうケースを完全に回避することはできません。そして、動作の認識は時系列の認識ですから途中で検出を1回でも失敗すると全体の認識も失敗してしまいます。このような見方をすると、全体の動作認識システムとしてはかなり不安定なシステムしかできません。この問題の場合、目的は人物を認識するのではなく、動作を認識することなので、頭や手を認識する必要はありません。この例のように、画像という表層的な構造に目を奪われると、時系列データでもあるという特性を見逃してしまいます。

 役に立つ研究は、工学の立場から見れば基本的によい研究です。但し、単なる既存の技術の組み合わせではなく、また現在本当に切望されている問題がその研究によって解決されるといった状況が必要です。学問的新規性が希薄な研究で、このことを無理に理由付けする発表を最近多く見ます。例えば、「こんなシステムがあったら便利だ、役に立つ」といったことを発表する人は多いですが、その中で検討に値するものはごくごく僅かです。自分がそのシステムを売るベンチャー企業を立ち上げたとして、会社が潰れないで順調に収益が上がると自信が持てるときにのみ「こんなシステムがあったら便利だ、役に立つ」というべきだと思います。

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研究を通じて身に付けるべきこと

 研究を開始する前には、まず研究のゴールと、それに至る過程で解決しなければならないサブゴールを設定しなければなりません。この設定をうまくやらなければ研究はうまくいきません。そして、そのサブゴールを達成するための方法論を検討し、複数ある可能性のうち、どの方法を用いるのかを考えなければならなくなります。つまり、研究というのは無数の分岐点から成る迷路の中でゴールにたどり着く問題のようなものです。

 この迷路の中を、できるだけ速くゴールに到達できるように探索する能力、つまり「問題解決能力」を身に付けることが大事です。映画の主人公が危機一髪のとき、ちょっとした機転を利かせて危機を脱するような場面がよくありますが、そういった能力のことを指しています。きちんと研究に取り組んだ学生は、多かれ少なかれこの能力が身につくはずです。そして、この能力は以下に述べるように実生活でも役立てることができます。

 例えば、生活費を稼ぐためにアルバイトをしているが、それに時間がとられて研究の時間が十分取れない場合、どうすればいいかという問題を考えます。可能性としては、短時間で割りのいいアルバイトを探す、企業や自治体の奨学金制度を探して応募する、時間をあまりかけないでもできる研究を選ぶ、研究室内でアルバイトをする口がないか聞く、生活の無駄をなくして出費を抑える、などの解決策が思いつきますが、これらの可能性を全て列挙し、研究を優先させるか生活を優先させるかを決めて、調べていけば大抵の場合答えが出てきます。こういったごくあたりまえのことをするクセが身についていれば、実生活でも役に立つ場面があるはずです。

 もう一つ、重要なことは他人の能力を借りることです。自分では答えが出せない問題にぶつかったとき、最後まで自分だけで問題を解決しようとして時間ばかりが過ぎていってしまうことを経験した人は多いと思います。しかし、研究室には、先輩、後輩や教官が居り、彼らに相談するのが最も簡単な解決策だということです。このようなことをしても、他人に研究をやらせない限り、決してインチキにはなりません。

 研究は、基本的に自分のためにやるものですが、チームを組んで研究をしている場合や、自分の研究結果が他人に影響を与える場合などには、密な連絡や打ち合わせを行うことが必要になります。こういった連絡や打ち合わせをするクセを身に付けることも重要です。

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コンピュータビジョンとは

 カメラから入力された画像データを、あらかじめ設定しておいた意味領域(semantic domain)に対応付ける写像を求める問題を「画像理解」(Image Understanding)と呼びます。このうち、semantic domain を3次元世界に設定した問題、つまり画像から3次元世界を復元することを、もともとコンピュータ・ビジョンと呼んでいましたが、現在では画像理解と同じ意味でコンピュータ・ビジョンという言葉が用いられているようです。

 コンピュータビジョンの問題は、人間の高度な視覚機能の模倣とその本質的内容の類推、という立場から見ると学問的に重要な意義を持っていると言えます。また、視覚情報に基づいて識別を行い、さらには行動を起こす機構の実現という観点から見ると、工学的な意義が見えてきます。このような2つの視点に立脚して過去、以下に述べるような研究が行われてきました。

画像からの特徴抽出、図形・物体認識、カメラキャリブレーション、3次元形状復元、ステレオ視、カメラ・物体の運動解析、幾何形状の解析、色解析、対象検出・追跡、視覚モデル、画像処理エキスパートシステム、画像データベース、画像処理プロセッサの開発、画像・ビデオ映像の知的編集および知的映像効果の生成、立体テレビ、視覚を通じた人間の動作解析、画像・映像データベース

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コンピュータビジョンの研究は面白い

 コンピュータ・ビジョンが他の研究分野と著しく異なる点は、決まった方法論がないことです。例えば、微分幾何学、線形代数、射影幾何学、関数解析、波動光学、幾何光学、ディジタル信号処理、命題論理、第1階述語論理、木・グラフの探索、A*アルゴリズム(分枝限定法)、動的計画法、最近傍探索、主成分分析、特異値分解、情報理論、統計処理、ニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズム・プログラミング、強化学習、サポートベクターマシン、ADAブースティング、マルコフチェイン・モンテカルロ、隠れマルコフモデル、字句・構文解析、制約充足、など、信じられないくらい多くの方法論がコンピュータビジョン研究の中で用いられてきました。これらの方法論の全てを学ぶことは不可能ですので、ある問題を取り上げて、それを解く為に使うことができる手法を探すという Problem Oriented な研究のアプローチが取られます。こういった問題では、3で述べた問題解決能力が強く問われます。

 これほど方法論が多いと、既知の手法それ自体がそれほど堅牢ではない場合があり得ます。そうなると、普通はこうだと信じられていたことが覆る場合も結構あり、研究フィールドとしてはかなり刺激に満ち溢れています。
 また、人間の視覚認識機能がどうなっているのか、あるいはそもそも人間とは何なのかといったことと密接な関連もあり、心理物理学や哲学とも関連が深く、ものの見方や考え方が鋭く問われる研究分野でもあります。そういった意味で物事を深く考えたい方にはもってこいの研究分野となっています。

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