Air Papyrus: 能動ステレオカメラを用いた3次元空間描画



1. 背景


人類は過去多くの描画メディアを発明してきたが,それらのほとんどが,2次元描画デバイスである.



それらの特長は,

  • 作業(描画)を行う「描画空間」と結果を表示する「表示空間」が一致している.

  • 描画結果が表示空間に残る.

ということである.


近年,3次元描画のシステムは数多く研究されているが,

  • 描画空間と表示空間が別々であるもの

  • 実描画空間をHMDなどで遮蔽して仮想的に描画空間と表示空間を一致させるもの


の2つに分類される.


2. 目的


「3次元の実描画空間で描いた軌跡をその3次元空間に残せないものか?」
これがAirPapyrusの着想の元になった疑問である.
実3次元空間に物理的な軌跡を残すことは気流の乱れなどを考えると極めて難しく,かつ微細粒子を放出・回収するための装置などが大きくなってしまう.
「物理的にではなく,仮想的に3次元空間に軌跡が残っているように見せる方法はないか?」という考察の結果,運動視差(Motion Parallax)を作り出すことによって,あたかもそこに物体が存在するかのように見せることは可能である.
この現象を利用して,HMDなどを用いない3次元描画メディアを構築することが本研究の目的である.






3. 基礎技術


能動ステレオカメラ

能動ステレオカメラシステム 弁別度を用いた対象追跡法ステレオカメラ用にインプリメントし,
通常のPCを用いて実時間で目的物体の3次元位置を計測し,
対象の移動に合わせて観測方位を変えることができるシステム.
2005年当研究室にて開発済み.


運動視差の生成法

上記能動カメラを用いて視点の3次元位置を計測し,3次元物体を提示する技術.
ディスプレーとカメラの幾何学的補正法も含め2006年当研究室にて開発済み.

 






4. 中間成果


これまでの研究では,上記2技術を組み合わせることに注力してきた.その結果,描画位置に幾何学的に矛盾のない描画結果を残すことについては実現できている.しかし,使用しているディスプレーサイズが小さい,線の太さを導入していないこと,などの理由から軌跡が実空間に残存しているような知覚はまだ十分には与えられていない.






5. 今後の予定


今後,線の太さや,ディスプレーサイズ,軌跡の残す影などのファクタを追加し,何がリアリティに影響を与えるかを検討する.
また,左の画像のように,裸眼での人物の目の位置をリアルタイムにステレオ計測する方法についても開発を行っていく.

関連ページ: K-means tracker





【文献】

飯塚健男, 和田俊和.
「色弁別度を用いた実時間ステレオ対象検出・追跡. 」
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2006) インタラクティブセッション,
pp. 1072--1077, (2006).

三輪創平, 陳 謙, 和田 俊和.
「実時間視点追従機能を有する立体映像提示法. 」
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2006),
pp. 740--745, (2006).




発表スライド


和歌山大学 Vision and Robotics Laboratory