Pytorch:data
データセットの扱い
Pytorch でデータセットを扱う練習と,データ拡張(data augmentation)機能の実装方法について学びます.
DataLoader とは
PyTorchにおける DataLoader は、大規模なデータセットを効率的にミニバッチに分割し、前処理やシャッフルを行いながら,モデルに供給するための機能です。
前処理には,Pytorchでの用いた学習・推論のために最低限必要な処理と,
- 縦横のサイズ(解像度)調整
- 型キャスト
学習後の精度をより良くするためのデータ拡張があります.
- ランダムな左右反転
- ランダムな並進
- ランダムな回転
- ランダムな色変更
- ランダムなマスク処理
など.
DataLoader の使い方
以下は,最もシンプルな例.
# ライブラリのインポート
from torchvision import datasets, transforms
from torch.utils.data import DataLoader
# 前処理
transform = transforms.Compose([
transforms.ToTensor(),
])
# データローダーの作成
ds = datasets.STL10(root='./data', split='train', download=False, transform=transform)
tl = DataLoader(ds, batch_size=batch_size, shuffle=True)
ここで,torchvision とは,Pytorch で画像データを扱うときに使える便利なライブラリです.Torchvision に含まれる datasets というモジュールはデータのファイルの読み込みやデータセットの分割(学習用・検証用・テスト用に分割)などに,transforms というモジュールはデータの前処理に,それぞれ使われます.また,torch.utils.data (torch の中の utils の中の data というモジュール)に含まれる DataLoader というモジュールは,その名の通りデータローダーを作成するために使われます.
ちなみに,音声データを扱いたい場合には,torchaudio というライブラリもあります.(私は使ったことはありませんが.)
datasets
この datasets というモジュールでは,CIFAR-10 や STL-10 のように,ベンチマークによく使われるデータセットを扱うためのクラスが用意されています.上記の例では,datasets.STL10 というクラスが使われていますね.このようなデータセットは,大抵の場合,画像が .png や .jpeg のような標準の画像ファイルではなく,バイナリ形式で保存されています.試しに STL-10 のデータセットが保存されているディレクトリを見てみると,以下のようになっています.
$ ls ./data/stl10_binary class_names.txt fold_indices.txt test_X.bin test_y.bin train_X.bin train_y.bin unlabeled_X.bin
独自のデータセットを扱う場合には,通常はデータは画像ファイルとして保存されていると思います.その場合,ImageFolder というクラスを使えます(識別タスクの場合).これについては,後ほど演習で扱います.
transforms
前処理の機能を集めたクラスです.
以下のように処理を並べてやると,書いた順序で実行してくれます.
transform = transforms.Compose([
処理1,
処理2,
処理3,
...
])